大阪地方裁判所 昭和50年(わ)856号 判決
本店所在地
大阪府堺市北花田町三丁一六二番地
商号
浅井鉄工株式会社
代表者
浅井三秀
本籍および住居
大阪府堺市北花田町三丁一六二番地
職業
浅井鉄工株式会社代表取締役
浅井三秀
昭和一二年一一月三日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人浅井鉄工株式会社を罰金六五〇万円に、被告人浅井三秀を懲役六月に各処する。
被告人浅井三秀に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告法人浅井鉄工株式会社は、堺市北花田町三丁一六二番地に本店を置き、自転車の変速機の部品の製造、加工業を営むもの、被告人浅井三秀は、同会社代表取締役として、その業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人浅井三秀は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、被告法人の昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度における実際所得金額は三七、〇二五、八〇三円で、これに対する法人税額は一三、三四四、一〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空外注加工費等の架空経費を計上し、雑収入を除外し、これによって得た資金を架空名義の定期預金とする等の不正の手段により、右所得金額中二三、六四八、七三九円を秘匿したうえ、同四七年五月三〇日、堺市南瓦屋町二番二〇号所在の所轄堺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一三、三七七、〇六四円で、これに対する法人税額が四、六五三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正当税額との差額八、六九〇、六〇〇円を免れ、
第二、被告法人の同四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における実際所得金額は五〇、二一五、〇七六円で、これに対する法人税額は一八、一九一、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正の手段により、右所得金額中二六、六五七、九一六円を秘匿したうえ、同四八年五月三〇日、前記堺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二三、五五七、一六〇円で、これに対する法人税額が八、三九四、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正当税額との差額九、七九六、九〇〇円を免れ、
第三、被告法人の同四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における実際所得金額は六四、九三二、六七〇円で、これに対する法人税額は二三、六〇〇、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正の手段により、右所得金額中四二、六三二、〇三一円を秘匿したうえ、同四九年五月三〇日、前記堺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二二、三〇〇、六三九円で、これに対する法人税額が七、九三二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正当税額との差額一五、六六七、三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、被告法人浅井鉄工株式会社代表者代表取締役および被告人(以下単に被告法人代表者および被告人と称する)浅井三秀の当公判廷における供述
一、被告法人代表者および被告人浅井三秀の検察官に対する供述調書二通
一、同人の収税官吏に対する質問てん末書八通
一、収税官吏秋山益行作成の昭和四九年一一月一九日付、同月三〇日、同月九日付、昭和五〇年一月一六日付(二通)各査察官調査書
一、収税官吏小畠需作成の同年一〇月二四日付、同年一一月六日付、同年一〇月一八日付各査察官調査書
一、収税官吏馬場隆弘作成の昭和四九年一〇月二三日付、同年一一月二九日付各査察官調査書
一、収税官吏高野潔作成の同年一一月二六日付、同年一二月二〇日付、同年一一月二〇日付(二通)各査察官調査書
一、浅井幸子の検察官に対する供述調書
一、同人の収税官吏に対する質問てん末書一一通
一、同人作成の昭和四九年一二月一四日付確認書
一、米田豊、南貞夫(二通)、池島伊干雄、北野勲、小西和男、光山博(二通)、仲谷駒治、浅井光治(二通)の収税官吏に対する各質問てん末書
一、源英二、影井宏治各作成の供述書
一、坂本嘉朗、高柳秀雄、辻井和雄、岡田薫各作成の確認書
一、押収にかかるゴム印七個、印鑑四個、金銭出納帳(現金)一冊、預金関係ノート一冊、金銭出納帳(B・K関係)一冊、四四年以降金銭出納帳一冊、印鑑七個、同三個、同六個、同二個、同八個、同二個、同一六個、同二五個、税金関係(申告書控等)書類綴一綴、49・3期法人税申告書類綴(当裁判所昭和五〇年押第五七二号符号7ないし22)
判示第一、第二の各事実につき
一、収税官吏小畠需作成の昭和四九年一一月八日付査察官調査書
一、谷口親三の収税官吏に対する質問てん末書
判示第一の事実につき
一、収税官吏小畠需作成の脱税額計算書(但し、昭和四六年四月一日から昭和四七年三月三一日までの分に関するもの)
一、堺税務署長中川正一作成の証明書(但し、昭和四七年五月三〇日申告の法人税申告書写に関する分)
一、押収にかかる47・3期元帳四綴、47・3期金銭出納簿一綴(当裁判所昭和五〇年押第五七二号符号1、4)
判示第二、第三の各事実につき
一、大槻高久、大向国一の収税官吏に対する質問てん末書
判示第二の事実につき
一、収税官吏小畠需作成の脱税額計算書(但し、昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの分に関するもの)
一、堺税務署長中川正一作成の証明書(但し、昭和四八年五月三〇日申告の法人税申告書写に関する分)
一、浅井幸子作成の昭和四九年一一月八日付(三通)、同年一二月一四日付各確認書
一、山新茂の収税官吏に対する質問てん末書
一、押収にかかる48・3期元帳一綴、48・3期金銭出納帳一綴(当裁判所昭和五〇年押第五七二号符号2、5)
判示第三の事実につき
一、収税官吏小畠需作成の脱税額計算書(但し、昭和四八年四月一日から昭和四九年三月三一日までの分に関するもの)
一、堺税務署長中川正一作成の証明書(但し、昭和四九年五月三〇日申告の法人税申告書写に関する分)
一、石井武夫の収税官吏に対する質問てん末書
一、押収にかかる49・3期元帳一綴、49・3期金銭出納帳一綴(当裁判所昭和五〇年押第五七二号符号3、6)
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項、七四条一項二号(法人である被告人会社の処罰につき、なお同法一六四条一項)に各該当するところ、被告人会社に対して以上の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で被告人浅井鉄工株式会社を罰金六五〇万円に処し、被告人浅井三秀に対して所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、諸般の情状に鑑み同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から二年間同被告人に対するその刑の執行を猶予することとする。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 橋本達彦)